昔から客船等の大きな船を見ることが大好きだったので、財団の事務局が大さん橋の目の前にあることを知った時は本当に嬉しかったです。横浜美術館に勤務していた当時は、大さん橋やハンマーヘッドに大きな客船が入港すると、よく眺めに行っていました。今も仕事で財団の事務局に顔を出すことがあると、「船を見られてラッキーだな」と思います。
あと、私は神奈川県出身で横浜DeNAベイスターズのファンなので、退勤後にハマスタまで応援に行くこともあります。電車で1駅ですし、街並みを眺めながらゆっくり歩いて行くこともできますよ。
「横浜でアートを仕事にする」とは?
財団で働く仲間のリアルな声を紹介します
QUESTION 1 入職された経緯を教えてください
大学では芸術学科で美術史などを学んでいたのですが、当時は美術館に管理系の仕事があることに想像が及ばなかったんです。それで「学部しか卒業してない私にはアートの仕事は無理だ」と思い込んでしまい、民間の食品会社に就職しました。
ただ、民間企業でアートに興味がなかったり、アートと関係がなかったりする人たちと過ごす中で、美術館に年1回も行かないことが世間では普通だということを知ったんです。その内に「この感覚は、アートの世界にいるとたぶん分からないのでは? アートを一般の方々に届ける際に役立つのでは?」と思い立ち、アート初心者代表として改めてアートに関わる方法を探して、財団を志望しました。
QUESTION 2 現在の業務内容について教えてください
横浜能楽堂で主に経理を担当していて、日々の支払いや決算に関わる業務といった、お金に関わる諸々をメインでやっています。他には、子ども向けの狂言のワークショップや学校プログラム、横浜能楽堂が運営しているショップも担当業務です。
もう1つ、異動になるまで能楽をまったく知らなかった“能楽初心者”という立ち位置を活かして、『横浜能楽堂芸術監督による能楽入門講座』も担当しています。ワークショップや公演プログラムといった事業系の仕事はもちろん専門業務の人がいるので、私はあくまでサポートのような役割ですね。
QUESTION 3 これからどんな仕事を手がけていきたい?
経理の仕事を始めたのは財団に入ってからで、まだ3年しか経験がないので、勉強中です。そのため、もっと経験を積んで経理のスペシャリストになって、他の施設や財団全体でも貢献できるようになりたいですね。
あとは財団を志望した理由のとおり、アートを好きな人とそうでない人の橋渡しになることも目指しています。能楽堂への異動もそうだったように、私はまったく知識のない新しい環境の中で、自分なりに面白いところを見つけるのが得意なんです。だから「私はここが面白いと思いました!」のように、素人の意見をみんなに伝えることが自分の役割だと思っています。財団の中でもアートの専門業務の人と、私たちみたいな管理系業務の人がいるので、そうやって両者を繋げられたら嬉しいですね。
QUESTION 4 働く舞台としての財団の特徴は?
入職以来ずっと変わらないイメージは「プロフェッショナルの集団」です。学芸員のような専門職に限らず、広報や渉外や施設管理といった各分野で専門性を持った人たちが働いています。経理なら経理でその道のプロフェッショナルがいるので、入職した当初は「どうしよう、自分だけ得意なことが何もない」と不安になりました(笑)。
転職して感じた民間企業との違いは、売上成績が給与に直結するような評価システムではないところです。やっぱりアートに貢献するという仕事は、数字ですべてが測れるものではないですよね。だから、自分なりに芸術に思い入れがある方、数字に表れにくい分野でもアートに貢献することに意味を見出せる方が、財団には向いていると思います。
QUESTION [EXTRA]
異業種からの転職を考えている人に
伝えたいことは?
アートの仕事に就くためには、あらかじめアートの知識がないといけないと思うかもしれませんが、意外とそうでもないということは声を大にして伝えたいです。私も当初は「専門性もない、美術史も忘れてしまった自分に何ができるんだろう?」と思っていました。けれども働くうちに、経理のような自分にできることの範囲でも芸術文化に貢献できると実感したので、心配は無用です。
我が身を振り返ると「学生時代にアートにはいろんな仕事があると知っていたら……」と思いますが、一般企業に就職したからこそ、世間一般のアートへの距離感を知ることができたんですよね。だから異業種から転職される方にはぜひ、アート以外の世界の視点を持ちこんでもらいたいと思います。