INTERVIEW

「横浜でアートを仕事にする」とは?
財団で働く仲間のリアルな声を紹介します

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横浜美術館 教育普及グループ

エデュケーター

森 未祈

2007年入職

新卒採用 → 横浜市民ギャラリーあざみ野 → 横浜市民ギャラリー → 2018年より現職 (2023年9月現在)

QUESTION 1 入職された経緯を教えてください

大学では芸術学ではなく、制作を実践しながら学ぶところにいました。当時は音と造形に着目して制作をしていたのですが、才能のある人に囲まれてやっているうちに「私はこっちじゃないよな」と思うに至ったんです(笑)。学内ギャラリーの運営や芸術祭のボランティアをしているうちに、アートを支える側の仕事が自分に向いているし、面白いと思うようになり、気がついたらこの財団に行き着きました。
就職活動をしていた当時は、横浜市が『クリエイティブシティ・ヨコハマ』という政策を打ち出していて、それが魅力に思えたのも入職した理由の1つです。また、私は茨城県の出身なのですが、母のルーツが横浜で土地に愛着があったことにも縁を感じました。

QUESTION 2 現在の業務内容について教えてください

現在は横浜美術館の教育普及グループに在籍して、エデュケーターとして働いています。コレクション展のギャラリートークや、館内で行うワークショッププログラム、学校や高齢者施設などに出かけてワークショップを行うアウトリーチの企画運営が、メインの業務ですね。あとは3年に1度開催する現代アートの国際展『横浜トリエンナーレ』に向けて、プログラムやアクセシビリティ向上のための検討準備も行っています。
他にも、現在休館中の美術館がリニューアルオープンした後に、どんな方針でどんなプログラムを進めていくのかをみんなで話し合うなど、とにかくいろんなことをやっています。

横浜美術館「コレクション展」ギャラリートーク(Photo:Ken KATO)
エデュケーター 横浜美術館 教育普及グループ 森未祈

QUESTION 3 これからどんな仕事を手がけていきたい?

個々のプログラムで言えば、やりたいことはたくさんあります。ただ、それとは別に全体を俯瞰して、どんなビジョンを描いていけるのかを考えたり分析したり、言語化したりする必要性を感じています。美術館がリニューアルオープンする前というタイミングもありますが、まとめたり、記録に残したり、お客様に説明できるように可視化したりするフェーズに、施設も自分も入っているような気がしているので。
その一環で、今年は研究紀要にも取り組み始めました。これまでの活動を文章化して残すことなら今の立場でもできると思い、少しずつ進めています。

QUESTION 4 働く舞台としての財団の特徴は?

私は美術館に在籍していますが、私たちの財団はダンスや伝統芸能など扱う分野も多岐にわたり、本当に様々なバックグラウンドを持った人たちが集まっています。施設に限らず職員も多様なので、そうした環境で分野を横断していろんなことに取り組めるのはとても面白いですね。
一方で幅広いが故に特色が出しにくいとか、部署によって見る方向が違っていたりすることもあるにはあるんですよね。でも、社会ってそういうものじゃないですか。
いろんな専門性を持った人たちが集まって、ぶつかったり繋がったりしながら前に進んでいく姿は社会の有り様と似ていて、それが財団の大きな魅力だと思っています。

エデュケーター 横浜美術館 教育普及グループ 森未祈

QUESTION [EXTRA] アウトリーチやプログラムで
心がけていることは

最近担当した中では、アーティストの松田修さんを講師に招いた、『ガチで価値についていっぺんバッチバチに考えてみる会』という中学3年生を対象にした授業が印象に残っています。お金を切り口に価値について考える授業で、事前に『お金ドリル』というテキストを配布して、「制服は○○円する」とか「横浜美術館所蔵のピカソ作品は○○億円する」みたいな問題に〇×で答えてもらいました。それなのに、授業本番で体育館に集まった時は答えがないような質問を投げかけるんですね。例えば「人生において一番大切なものはお金だと思う」という質問で○と×に分かれてもらい、それぞれに理由を聞いていくという内容です。
このような一見すると美術でないように思えるものも含めて、様々な切り口で、各人の価値観を広げたり、見方を変えたりすることを心がけています。中学校の出張授業もそうですし、美術館での企画においても、そうした視点を常に持ちながらやっているつもりです。

「中学3年生のお金ドリル」/出張授業「ガチで価値についていっぺんバッチバチに考えてみる会」講師:松田修

働く中で“横浜”を感じていますか?

美術館も仮事務所もみなとみらいにあるので、「みなとみらいの風景だな」と思いながら通勤しています。コレクションの調査で横浜の都市計画を調べたところ、横浜は戦後の復興が遅れていたため、当時の人たちが「横浜を盛り立てよう」と理想を抱いて、街を作ってきた歴史があるんです。だから歩いていると、「その延長上に私は立っているんだな」って感慨深く思うことがありますね。
それと私はとても食いしん坊なので、退勤後に各国料理を満喫しています。中華街は当然として、中華だけでも土地別にいくつもの種類があるし、タイ、ベトナム、ギリシャ、南インドとか、横浜は外国の料理店がとても多いですよね。もちろん、野毛にもよく行きます。ワインやクラフトビールがすごく好きなんです。

エデュケーター 横浜美術館 教育普及グループ 森未祈

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