INTERVIEW

「横浜×アートの仕事」とは?
財団で働く仲間のリアルな声を紹介します。

7
総務グループ

総合職【事務】

寺本 学

2023年入職

中途採用 (前職は公益財団法人職員) → 横浜赤レンガ倉庫1号館→ 2025年より現職
(2026年7月インタビュー時)

QUESTION 1 財団で働きたいと思ったきっかけは?

前職は地元・広島の公益財団法人に勤務して、平和記念資料館などで平和の継承や発信に関わっていました。学生時代にフランスで学んだ文化遺産学の視点も背景に、来館者が展示内容とより主体的に向き合えるような工夫や改善が主な取り組みです。
転職を志したきっかけは、別に前の職場に不満があったとかではありません。ただ、留学時に学んでいた美術史への思いが捨てきれず、アートに関わりたいという思いが燻っていて……(笑)。そんな折に財団の存在を知り、アートと社会の繋がりを大切にしている姿勢に惹かれて応募しました。1つの自治体に紐づいた芸術文化の振興団体としては珍しい規模感で、「ここなら面白いことができそう」と思ったのも大きな理由です。

QUESTION 2 現在の業務内容について教えてください

実は入職当初は横浜赤レンガ倉庫1号館で舞台や展示の企画制作を担当していました。ところが同施設の経理担当者が異動したタイミングで経理を兼務することになり、アートとそれに関わる経理という部分に関心が広がり、現在は総務グループで経理を担当しています。財団における経理の仕事を端的に表現すると、「各施設で行われている事業をお金や仕組みの面から支え、きちんと説明できるかたちにしていく仕事」です。具体的には各事業の出納確認や財団全体の決算、税務対応、制度改正に伴う内部ルールの見直し、予算の調整などが日々の業務となります。
経理というとパソコンに向かって数字を扱うだけというイメージを持たれがちですが、各担当者とやり取りしながら進める場面が多いのが実際のところです。数字の背景にある事業ごとの事情を把握し、経理としての考えも伝えながらより良い在り方を一緒に模索するという点では、コミュニケーションが非常に重要な仕事とも言えますね。

QUESTION 3 これからどんな仕事を手がけていきたい?

事業企画制作の枠で入職していることもあって経理を担当しているのは意外に思われるのですが、実は当人としては自然な流れと捉えています。文学部出身にもかかわらずアートに興味を抱き、そのまま渡仏して美術史を修めたような人間なので、学ぶ対象が変わっていくことが普通と言うか……。だから長期的には職種の枠にとらわれることなく、自分に必要な知識や経験を積み重ねながらアートに関わっていきたいです。
ただ、アートの仕事を継続するという面では、お金のことを把握せずに働き続ける自分は想像できなかったので、経理の仕事は成長のチャンスだと考えています。実際、企画制作と経理の両方を経験したからこそ、芸術文化の仕事は思いや熱量だけでは成り立たず、それを支える仕組みも同様に大切なのだと実感できました。この知見を生かして、芸術文化をより多くの人たちに届ける土台を整えていくことが、当面の目標となっています。

QUESTION 4 財団で働く魅力や特徴は?

アートの現場からより良い社会のあり方を模索している団体だと思います。アートは人と人とをつないだり、普段意識しない感情や感覚に触れさせてくれたりします。効率や数字で測れないもの——手触りや、心が動く瞬間そのものを大切にする。そういうアプローチが社会の中にあること自体、今の世の中ではとても貴重なことですよね。
また、そうした芸術文化を社会に届けるための入口を多様に備えているところも財団の特徴です。地方自治体の美術館としては相当大規模な横浜美術館を抱えているかと思えば、落語のような大衆芸能を伝承する横浜にぎわい座も運営している。このように扱う内容が多岐に渡ることで多様な人材が集まっていて、それが財団全体として「肩の力が抜けた感じ」や組織としてのしなやかさを生み出しているように思います。

QUESTION [EXTRA] 経理の仕事だからこそのアートへの
関わり方は?

経理を担当するようになって面白かったのは、事業に対する解像度が劇的に向上したことです。お金と事業の結びつきが真の意味で理解できて、これまで企画制作で積み上げてきた経験のひとつひとつが輪郭を太くしていくような感覚があるんですよね。芸術文化の仕事というとどこか浮世離れしたイメージがありますが、当然ながら何をするにしてもお金がかかりますし、現在の日本はアートを巡る予算がいっそうシビアになっています。だからこそ、多様な企画に「お金」という軸から貢献できるのは、喜びであると同時にやりがいでもあります。
他方で、経理や庶務は「現場を支える仕事」と表現されることも多いですが、そうした意識は、私は持たないようにしています。というのも、「私がやっている仕事もまた、アートの現場なのだ」という自負があるからです。アートの仕事は専門職だけのものではなく、事務職も一緒になって作りあげていくものです。だから今でも、展覧会や舞台公演、映画館などにはできるだけ足を運んで、アートへの感度を損なわないように気をつけています。もちろんアートが好きだからこそ、そう思うのですが。

働く中で“横浜”を感じていますか?

昼休みは事務所の目の前にある山下公園や大さん橋、象の鼻パークのあたりを散歩することが多いですね。海が見えて、空が広くて、晴れの日も雨の日もそれぞれ違った表情がある。オフィス街の真ん中にいながら海辺を散歩して隙間時間を過ごせるのは、横浜ならではの醍醐味ではないでしょうか。
そしてもう一つ横浜らしいと思うのが、多様な風景です。みなとみらいの整った街並みのすぐ近くに野毛や伊勢佐木町のような気取らないにぎわいがある。かと思えば、さらに内陸には住宅地や畑も広がっていて、一つの市とは思えない多様な表情が共存している。同じ港町でありながら私が生まれ育った瀬戸内の広島とは異なる佇まいで、その違いに思いを馳せることが横浜を感じることに繋がっています。

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